ガタンゴトン…ガタンゴトン…
時々起こる激しい揺れに、意識が浮上する。
目が覚めた時、私は電車の中だった。
「………?」
窓からの景色を見ると、そこは見覚えのある景色。
家の最寄り駅から数駅離れたあたりだった。
電子の方向から言って、私は家に帰る電車に乗っている。
手には帰りの切符が握られていて、眠っていた時に力がこもったのか、少し曲がっている。
足元には、行く時にママとケンカしながら引きずったキャリーケースがあった。
服装も、おばあちゃんの家に着いた日に来ていた服装のままだった。
……なんだか意味がよく分からないんだけど……。
随分と、長い夢を見ていた気がする……。
だけど、異世界で過ごした日の記憶は鮮明で、決して嘘だとか妄想だなんて考えられない。
……何か、雪の国での出来事が現実だと確認できるものはないかな……。
あの時着ていたローブは、もう着てはいなかった。
でも、ポケットを漁ると…たった一つ。
おばあちゃんがくれた、お花の形をした手鏡が出てきた。



