ウィルさんは、私の頭を優しく撫でる。




「これから、私の魔法でたんぽぽちゃんをもとの世界に送り返すわ。……これは私のわがままだけど…いつかきっと分かってくれると思ってるわ。」





「………はい。」




ウィルさんは、そっと微笑む。
少し、悲しそうな顔をしているように見えるのは、私の気のせいかな…?





「たんぽぽ…」




エルノが私の名前を呼ぶ。
エルノの方を向くと、ギュッと抱きしめられる。




「一緒にいたいけど……たんぽぽには、たんぽぽの時間があるから。ウィルさんの占いで、また会えるって出たんなら、必ず会えるよ……その時こそ、ずっと一緒にいよう……」




「……うん。」




私も抱きしめ返すと、エルノは体を少し離して、そっと唇にキスをした。




「あのタンポポの花、大切にするよ…春が来たら、この国がタンポポでいっぱいになるように……。あの花を見る度に僕は、たんぽぽを思い出すからね」





「………うん。」






そして別れの時間は近付いて、ウィルさんは、私に魔法をかけた。
真っ白な光に包まれて……






私の意識は途切れた。