春に咲く花、と説明しようとしてふと気付く。
「やっぱり……春がきてるんだ……」
私は、魔法がとけたことを確信した。
「これが…タンポポの花なんだね……やっと見れた。そして……春がきて、時がめぐれば…僕も王位を継承できる日がくる。」
エルノの手が、私の手を取る。
その温もりが、春のようだと思う。
「あぁ、そうだ…エルノ、おばあちゃんにもらったシークなんだけど……モールって、どういう意味?」
「モール?」
エルノは私が言った呪文を繰り返すと、いつかの日のように私の手の甲をとりキスをした。
「えぇっ!?な、なに…?」
エルノはぎこちなく微笑む。
「モールの意味はね…「愛」。ちなみに言うと、ヘフェの意味は…「指導者」」
「愛………」
いい言葉をだと言ってくれたマグノアの声が、聞こえてくる。
「おばあさまは…その人に合ったシークを与えてくれるんだよ…」
エルノはそう言った。
私たちのおばあちゃんはすごい人だ…と、二人で顔を見合って…手を繋いだ。



