【完】ダンデライオン








「あのね…昨日話してたことだけど…」
『待て。』





そこまで話していると、マグノアは私を静止させた。



黙ったままで、キョロキョロと周りを見渡している。
たまに耳がピコピコと動いている。




「…なに?どうしたの?」




『いや………』





挙動がなーんか、変な感じ。

少し考えるように伏し目がちに黙り込んでいたけど、マグノアは結論がまとまったようで顔をあげた。
そして、




『少し場所を変えないか?』と提案してきた。




「……?別に良いけど。」





移動しようとした瞬間、マグノアは『あ。』と思い出したように声をあげた。





「え…?な、なに?」






『ずっと聞くのを忘れていた。お前、あの人から手鏡を渡されているだろう?』





「手鏡??」





マグノアから出てきた突然の言葉にビックリする。
そういえばおばあちゃんからお花の形の手鏡を渡されていた。




使う場所が分からなくて、リュックに入ったままだったけど。



でも、それが何か関係あるのかな?






「うん。リュックの中にあるけど?」




そう返事すると、マグノアは驚いた顔をしていた。



『…今、持ってないのか?』




「えっ?」