【完】ダンデライオン





眠っている間は、深い眠りだったのか夢を見ることはなかった。
でも………



「………寒っ」




私は、寒さで目を覚ました。




よく見たら、ベッドにダイブしたまま寝ていて、掛け布団は一切上にはなかった。




そりゃ寒いよ……と思ってちゃんとベッドの中に潜り込む。



そしてもう一眠りしようとした瞬間、「コンコン」とドアがノックされた。





「たんぽぽー、おはよー!起きてるー?」




「………はぇ?」




エルノの元気な声が聞こえる。
どうやら、朝食のお誘いらしい。




ノックと、エルノの声のおかげで二度寝はできなかった。




とりあえずは備え付けの洗面台で、顔を洗って髪の毛を整えてからドアを開けた。


…目一杯寝起きですけどね。




「……おはよ」




まだ若干ボーッとしている私とは逆に、もう覚醒しきってシャキッと元気なエルノが立っていた。




「おはよー、ってあれ?ごめん、まだ寝てた?」




何となく、ここで素直に認めるのは寝るの大好き人間みたいに思われそうで気がひけた。
(あながち間違いではないんだけど)




「い、いや…そんなことは……」





「そう?じゃあ、朝食を食べに行こうか。」




そう言われて、手を差し出すエルノ。ナチュラルにその手を取る私。




自然と手を繋いだ状態で、昨日食事をとった大広間へと向かった。


そこで大広間で食事の準備をしていたメイドさんにクスッとからかわれるまで、その事実に気付かない私だった。