「な、なに?どーしたの?」





『仲間の声が聞こえる。……そうか、もう食事の時間か…。』




「えっ!?」





声が聞こえるって何の!?
仲間の声??どこから??


……全く分からない。





「私には聞こえないんだけど……?」




『お前の耳とは出来が違うからな。』





そう言うと、マグノアは私を鼻で笑った。
さっきまでしおらしかったくせにー!!むっ、ムカつくー!!





マグノアは、いつもの調子を取り戻したみたいでフッと笑った。




『冗談だ。オオカミにしか聞こえない音もあるからな。……もう食糧を取りに近くまで来ているみたいだ。悪いな、私はもう行くぞ。』





食糧……ケイスさんが毎日準備をするアレか…。そういえば、マグノアは仲間の食事を少し離れたところから見守っていた。




やっぱり、今日もマグノアは仲間の食事を見守るという名目で。
争いを防ぐために門の側まで見に行かなれければいけないらしい。





マグノアはひらりと反転し、今にももと来た方へと走り出そうとしている。


私はそれを、手のひらを見せて静止しようとした。





「えっ、ちょ……」




せっかく話が聞けると思ったのに!!




そんな私の心を知らないマグノアは、仲間のところへ行く気満々。






『お前もそろそろ城へ戻れ。この時間は、食事の時間にする家が多い。』





「えっ……」





もう、私の返事を聞いちゃいない。





『……あぁ、もう本当に近いな。じゃあな。また何かあれば呼べよ。』





やっぱり何かマグノアには聞こえるらしく、仲間が近付いたことを確信していた。


そして、私を置いて走り出す。





そしてマグノアは、雪の中をものすごいスピードで走り去っていった。




「……………」




唖然とした私は、ポツンと取り残された。