【完】ダンデライオン






エルノは私の手を握る力を少し強めた。
私は、ハッとエルノを見る。





「たんぽぽは僕のことを気遣ってくれるけど…両親のことを思い出したり、話したりするのは辛いことじゃないんだ。だから、気にしないで?」





そう言って、エルノは微笑んだ。





「そっか……」




それなら、安心した。
私がホッとしたのを見て、エルノも安心したみたいだった。




そして、私の手をじっと見つめる。




「両親にとってそうであったように……僕にとっても、この手を繋ぐことは大切な愛情表現なんだ。言葉よりも、きっとこの気持ちが伝わると思ってる」




私が心配していたよりかは、エルノは両親のことをちゃんと受け止めているみたいだった。



まぁ、50年たっているしそういうものなのかもしれないけど。





「そうだね……」





きっとそうだし、そうであってほしい。
でなければ、エルノは……




エルノは、優しく笑顔のまま私を見ている。
私は、どんな顔をしているんだろう……





「ねぇ、たんぽぽ」




「ん?」