おばあちゃんは、私を抱きしめていた腕を少し緩めた。
距離ができて、おばあちゃんの顔が見えた。
変わらない笑顔で私を見つめていた。
そして私は、突然の行動にビックリしたままだった。
「ど…どうしたの…?」
「たんぽぽちゃん……また、私のことをおばあちゃんって…呼んでほしいなぁ。」
「えっ……」
誤魔化せるとは思っていなかったけど、やっぱり気付かれていた……。
私とおばあちゃんに血縁がないと知って、私が「おばあちゃん」と呼べなくなっていたことに。
だけど、そんな風に言われると困る。
「たんぽぽちゃんが思っているほど、私たちは他人じゃないから。変わらず私のことをおばあちゃんと呼んでほしい…。私は、たんぽぽちゃんのことを…愛しているわ」
「…………。」
私は、何も言えない。
何て言えば良いか分からない。
私だって、おばあちゃんのこと…大好きだけど……。
おばあちゃんは、パッと私から離れた。
そっとぬくもりが離れていく。
「ごめんね!準備できたら出発出来るからね!」
そう言って、部屋の外に出て行った。



