私は春川たんぽぽ。
15歳の中3。
この春に3年生に進級したばかり。
私には、特に将来の夢はない。
得意なこととかないし、何か聞かれても全部、「フツー」って答えちゃう。
でも昔からなかったわけじゃないんだ。
私は昔、魔法使いになりたかった。
でも、そんなのなれない。
ほとんどの人から否定される。
何度も聞いた否定の言葉。
『魔法使いになんてなれないよ、魔法なんてナイじゃん!』
何度もそう言われて、そんなに沢山の人が言うのならそうなんだろうって、なんか納得して。
私は唯一の夢を諦めた。
それ以来、私には将来の夢が出来ない。
まぁ夢はなくたってそれなりに生きていけると思っているから平気。
……あ、でも。
そういえば、私の魔法使いになりたいという夢を否定しなかった人が一人だけいた。
私の、母方のおばあちゃん。
片道4時間の超田舎に住んでるから滅多に会えないんだけど、おばあちゃんだけは私の夢を否定しなかった。
でもそれは、否定され続けた私への優しさではないと思う。
だっておばあちゃんは、自分自身のことを「魔法使い」だと言ったから。