「君は、本が好きなんだね」
「へ? ひゃい!!」
彼に見とれてると、急に言われたのでビックリして、返事が可笑しくなってしまった。
「そんなに、緊張することないのに」
彼は、真顔だが少し笑ったかのように言った。
「ゴ、ゴメンなさい」
「謝る必要ないよ。それより君も一年生なんだね」
彼は、上手くQRコードを読み取り、私の方へ渡し、さっきの席についた。
「えっ、君もって…」
「そう、同じ歳らしいね」
にこやかに笑い、本の整理に取りかかる。
「そう言えば、名前聞いてないね?」
私の方に向いて言った。
「…あ、吉野遥です」
「神木 社(カミキ ヤシロ)だよ」
「神木…さん…えっと、変わったお名前ですね」
「フフ、よく言われるよ。あ、敬語じゃなくていいよ。同じ歳だし、呼び捨てで呼んで」
神木さ…社はそう言うと帰る支度をしているのか、鞄をあさりだした。
「はい! じゃなくて、うん!」
「はい、これ。君とは仲良くなれそうだよ、遥」
そう言うと去ってしまった、社の背中を見ていた。
「これ…本?」
渡された本は、私が、好きな本の5巻だった。
「え、凄い…って、感心してる場合じゃない! 和茶のこと忘れてた!」
急いで、階段を下り、正門を出た。

