「涼風」

「あ、お姉ちゃん!100Mの決勝もうすぐだね」

「そうね。涼風、大丈夫?」


お姉ちゃんが心配そうに尋ねてきた。


「もちろん大丈夫だよ!最後まで全力で走る!」

「うん、全力出してるのは伝わってきてる。だからちょっと心配でさ」

「今日、体が軽いの。目指すは優勝!」


わたしは、人差し指だけを立てて「1」を表した手をお姉ちゃんの前に突き出した。

お姉ちゃんは「もう涼風ったら。そうね、目指すは優勝、よね」と笑顔で答えてくれた。