「つばさー!」

「!、未希おはよー!!」

後ろから声がすると振り替えれば、小さい頃から友達の未希の姿があった。


「おはよ」

黒ベースに赤、灰色が入ったチェックスカート、白いワイシャツ、襟元に白いラインが入った黒いブレザー。

小さかった頃のピンクやスカイブルーの保育園着とは違い、私達はもう高校生になったのだと意識させられる。

それでもニコニコと笑う未希の姿は保育園の時のままで、こちらもホッと笑みがこぼれる。
校舎へと向かうと、同じ制服の人がいっそう増える


「そういえばさ、今日転校生来るんだって

「転校生?」
「男の子だったらカッコいい人がいいね!!」
「えー、女の子のがいいなぁー」
「あ、そっか。つばさ男子苦手なんだもんねー」

そう、私は男子が苦手だ。
嫌いまでではないけど、何故か受け付けなくてどうしても避けてしまう。

「せっかく可愛いのに、高校生活恋愛の1つもしないともったいないよー?」

「だって嫌いなもんは嫌いなんだもん。」

男は嫌い‥でも、本当は好きな人は居る。

ただ実らない恋、それが分かっているから誰にも言えず、好きな人なんて居ない素振りを見せてきた。


「そんなこといってたって痴漢とかストーカーとか万が一のとき頼れる人がいたら心強いのに」

「‥‥‥。」

「って、つばさは大丈夫か。痴漢になんか負けないもんねー」


未希がそういうのもそのはず、私は武道を極めるため小さい頃から訓練している。


男になんて負けてたまるもんですか…!


そう思いながら下駄箱を開けると一通の手紙。

「‥‥‥」

「またラブレター?」

「‥‥たぶん」

相手の名前も何も無い
ただ私宛にちゃんと“天咲つばさ様”と書かれている。

いくら男が嫌いでも捨てるのは可哀想、でもその告白に良い答をする事は無い。

はあ、と思わずため息がでた。

「私のどこが良いのかな…」

「そりゃ…明るくて可愛くてスポーツ出来て勉強もそれなり、文句無いじゃない。逆に羨ましい限りよ」

「いい加減迷惑よ」

「まあ、どうせ付き合わないならさっさと答え返してあげなきゃ」
「わかってるよー」

「チャイムなっちゃうから教室行こ?」

「うん」
もらった手紙をポケットに入れ教室へ急いだ。