もう少しで校門ってところで、結衣が駆け寄ってきた。 風紀委員らしくしてるつもりなのか、今日は、ロングヘアをふたつに分けて、耳のあたりで緩く結んでる。 「成林くん、ネクタイは?」 「あー……忘れた」 「もー。気をつけてね」 「はーい」 ポーカーフェイスを気取り、彼女の横を通り過ぎる。 ダメだ……顔がにやける。 なんだ。 こんな簡単なことだったのか。