口を丸く開ける。 あ…の口。 今度は唇が横にひっぱられる。 い…の口。 次は縦長に。 お…のくち。 3文字? 同じ言葉を何度も繰り返す彼女の唇を、じっと見つめる。 そんな風に口を開けるいくつかの単語が、オレの頭の中を駆け巡る。 やがて小さくガッツポーズする彼女の姿を見て、ようやく理解できた。 “ファイト” きっとそう言ってんだ。