「ああ」とオレはうなずく。

「じゃ、うちらの後輩になるかもじゃん。ね、結衣?」


そう言って、さっきまで塀の上にいた女に同意を求める。

結衣って女が「ほんとだね」とのんびりした声で言って微笑んだ。

こっちはロングヘアだ。

さっき抱きしめた時に香ってきたシャンプーみたいな香りを思いだし、なんか恥ずかしくなったオレはふいっと目をそらした。


「ふたりとも、柴高なんすか?」

元気になったのか、コータが明るい声を出す。


「うん、1コ上ね。あ、でもあたしは、今はまだ柴高の生徒じゃないんだ。転校して、4月からここに通う予定なの」

ショートボブの女が言った。


「へぇ、そうなんすかー」


相槌をうつコータの背中をオレは叩く。


「おい、そろそろ行くぞ」