「あたし、感情がないの。泣く事も笑う事も怒る事もないの。だから、そう言われても何も感じない。」
ほらね?
あたしが普通じゃないって、これで分かったでしょう?
「俺が治してやるから。」
―何を言ってるの?
「男なんて、あたしに求めるものは顔と体だけでしょ?あたしを歩くブランドとしか思ってないくせに。誰もあたしを見てくれないくせに!」
「感情出したじゃん。」
抱きしめられた腕の中でハッとした。
「それ。今のお前の本音じゃね?」
―これ。あたしの本当の気持ち?
「俺はお前が嫌だって言っても離れねぇし、そんな事思ってたら会ったその日にヤッてる。今までの男と俺は違うって証明してやるよ。」
「そんな事言っても、お前は一人で大丈夫だって、お前は強い女だって、惚れさせて最後は裏切るくせにっ……」
――お前は強い。
――お前は一人で平気。
――お前は泣かない。
――お前に俺は必要ない。
「あの人」に言われた言葉達………。
あたしの目から見慣れない、一滴の透明な雫が頬を伝った。
