affection

「翔シャワー使って?」

「お、おぅ。」

バスタオル一枚だけを身に纏うあたしを直視せずに、目線を逸らしあたしの横を通り過ぎて行った。


あたしには翔が分からなかった。


軽くキスから始まったくせに、あたしに手をつけてきたのは1ヶ月後。


その間に何度も同じベッドで夜を共にしたのに。

あたしに簡単に手を出さなかったのは…2人目だった…。


そんな事をされたら意図も容易く、あたしは翔を「あの人」に重ねてしまう。



すべてが白で統一されているこの部屋はあたしに息苦しさを与えた。


――――白は嫌い。


あたしが触れてしまったら黒に染めてしまう、そんな気がして。


部屋の照明を暗く落とし、あたしはタバコに火をつけた。


ここにいるはずもない、「あの人」を想いながら―…。