すごく急いで教室に行ったけど、
先生はまだ来てないみたい。
「姫那ぁ。まだ先生来てないよー!ラッキーじゃん!!」
前の席の鮎夏に言われる。
ラッキーだかなんだか……
あんなに頑張って走ったのに、意味ないー!
「春田が遅刻とか、珍しいな」
隣の席の男子に話しかけられる。
この人は、藍堂 要 アイドウ カナメ くん。
隣の席になってから、よく喋るようになったの。
「うーん。まあ、色々あってね」
「姫那も色々と大変なのよー。あの王子様に惚れられてるんだから」
ニヤニヤしながら、鮎夏が藍堂くんに言う。
「ちょっと鮎夏っ!!先輩はあたしに惚れてなんか「王子様…?」
「そ。2年の片桐豹先輩」

