王子様と眠り姫




どこを掴めばいいのか迷っていると
先輩があたしの手首を掴んで、自分のお腹の前まで引っ張る。


「ちゃんと掴まってないと危ねぇだろ」


これって…

あたし、先輩に抱きついてる!?



恥ずかしい…////




でも、自転車はそんなことお構いなしに出発する。




抱きついてみて分かったけど……

先輩、いい匂い……



「ここ、どっちに曲がるの?」


「えっ?! …あ、み、右です!」


「ぷっ…噛みすぎ!」



だってだって…

先輩の匂いのこと考えてる時に
本人から話しかけられたんだもん!


ビックリしちゃった。




それからは道案内の会話が続いて、
あっという間に家の前。