「ゆ、きと…??」
初めて触れた、雪斗の温もりが、私の涙をゆっくり拭った。
「やっと、絵梨の考えてること、分かったよ…」
そう、優しく微笑んだ直後。
目の前が暗くなった。
…抱き締められてる。そう気づくのに、五秒はかかった。
「今から言うこと、一度しか言えない、と思う。」
雪斗らしいな。私はこくりとうなずく。
「告白されたとき、すごく嬉しかった。
…好きな人から告白されると思ってなかったから。
俺、こんなこと初めてで、どうすればいいか分かんなかった。
けど、絵梨は俺とずっと一緒にいてくれて、絵梨といると安心できた。
それが当たり前になってた。
…俺から離れないって、勝手に思い込んでた、だから…」
ああ、この人は、私の感情をコントロールする天才だ。
こんなにも優しい言葉で、私を泣かせる。
「…西川と一緒にいるのを最近よく見て、俺から、絵梨が離れていっちゃうんじゃないかって、すごく不安になった。
でも、絵梨の話聞いて、ホッとした。
あと…
今回のことで、ちゃんと示さないとダメなんだってこと、分かったよ。」
そう言って、私から体を放し、私の目を見た。
涙でぐちゃぐちゃな瞳で、私も見つめ返した。
急に鼓動が高鳴る。
も、もしかして、この展開は…
ぎゅっと、私の手を握って、真っ赤な顔で、
「絵梨、好きだよ」
手なんかーい!!!!
と、突っ込みをいれたくなったけど。
でも、これがいつもの雪斗だな。
それに何よりも…
『絵梨、好きだよ』
これに勝る幸せな瞬間はないと思えた。

