俺は出ていくときの莉沙の顔がいつもとは違う感じがして気になった。 でも、追いかけはしなかった。 追いかけられなかったんだ。 今の俺には莉沙を心配する権利はないと思ったから…。 今の莉沙が何を言うのか怖かったから…。 その日の6校時目は繚と高梨がいなかった。 莉沙はすっきりしたような顔に戻っていた。 この時の俺は莉沙の顔に安心していた。 だから気付かなかった。 莉沙が何を考えていたのか…。 あの時追いかけていればあんなことは起きなかったんだろうか…