―昼休み―

私は…死んでいた。

提出物…忘れてた(泣)

朝は優し~い担任が怒らないで、笑顔で受け止めてくれたからいいけどさ!

社会のプリント、放課後に提出だぁぁぁぁぁ!!

何でやって来なかったんだろう…。

いっつもやってないけどさ!朝気付いとけば、授業中やったのに!←

今からやれば間に合うけど、気力ないよぉ…。

授業中、全神経を注ぎ込んでバレないように真剣に絵を描いてたんだもん!!←

あぁ…もういいかな。平常点なんて…(´Д`)ケッ←

私は諦めて、机に顔を埋めていた。

そんな時…

「キャーッ。あれ、二年の先輩だよね?♡」

「カッコイイ♡」

「何でこんなところに?♡」

女子の悲鳴の様な声が聞こえた。

私は『うるさい』と、耳を塞いだ。

「えーっと、志水…さん?居るかな??」

どこかで聞いたような声が、私を呼んでいる。

私が顔を上げると、教室の入り口付近で、明らかに見覚えのある顔が3つ…。

「……」

私の顔の影が濃くなる。

「お、居るじゃん♪」

蓮太が笑顔でこちらに手を振って来る。

「あはは…」

私は引きつった笑みで、小さく手を振り返した。

なぜ来た?!しかも…

私は愛斗たちの後ろの女子達を見る。

2人に熱い視線を送って、軽くギャラリーが出来ていた。

女子まで連れて…何しに来た!!やめてくれ…めんどい←

「美桜~」

蓮太は私の席まで駆けて来て、笑顔で私の顔を覗きこむ。

「どうしたの?;」

「わりぃな。急に邪魔して」

愛斗はガムを噛みながら歩いて私の席まで来て、苦笑する。

「顔色わりーぞ」

黒髪の少年はポケットに手を突っ込んで、ゆっくり私の席まで来る。

彼は新木(アラキ)翔(カケル)クン。

眼鏡をしている知的系男子。

見た目は真面目な格好で、ちゃんと第一ボタンまで止めていて、みんなからは地味な男子というイメージを持たれている。

唯一校則違反なのは、水色のブレスレットだけ。

これで、私の周りは愛斗と蓮太、2人のイケメンで埋まった。

「…いや、べつに」

私は目をそらして、下を向いた。

やめろ…女子達に睨まれる。

いや、もう睨まれてるだろう…完全に。

私は四方八方からの殺気を感じた。

それに諦めがついて、『もういいや…』と顔を上げた。

「愛斗、ガムplease」

私は小声でそう言って、愛斗の前に手を出した。

「…ほらよ」

愛斗は胸ポケットからガムを取り出して、箱の中から一つ、私の手の平に乗せた。

「あ。愛斗、俺もー」

蓮太は笑顔で愛斗におねだりする。

「ハイハイ」

愛斗は蓮太にガムを一つ投げ渡した。

「イチゴ味だぁ」

私はガムを噛みながら呟いた。

「翔は?」

愛斗は黙っている翔に尋ねる。

「要らない」

翔は少し冷たく目を閉じて言って、愛斗が手に出して渡そうとしているガムを受け取らなかった。

「そっか」

愛斗はガムを胸ポケットに入れた。

「で、何しに来たんっスか?」

私は3人に尋ねる。

3人とも先輩なので、みんなの前では敬語。一応ね←