―愛斗side―

「なぁ、愛斗ー?」

蓮太は愛斗に後ろから抱きついた状態で、携帯を扱う愛斗に呼びかける。

「んー?」

愛斗は携帯でゲームをしながら、抱きついている蓮太に嫌がる様子も無く尋ねる。

「あのさ、愛斗の彼女さ…」

「だ、誰が彼女?!//;;」

愛斗は大声を上げて、飛び上がった。

教室にいた生徒たちは見た凝視する。

「いや、冗談」

蓮太は飛び上がってこちらを真剣な眼差しで見てくる愛斗に、両手を上げて真顔で言った。

「たく…からかうな」

愛斗はまた席に座りなおした。

「最近見ないね~。喧嘩でもしたの?」

蓮太はまた後ろから愛斗に抱きつく。

「…いや、喧嘩はしてないけど…」

愛斗は小さくなる声で答えた。

「じゃぁ、どうしたの?あの子面白そうだから、オレも話してみたーい」

「……今日は学校来てないよ、美桜ちゃん」

愛斗は携帯のメール画面を蓮太に見せた。

『ごめん。今日も休むから』

それだけ書いてあった。

「最近ずっと来てない」

「ふぅーん…。だから最近機嫌悪いの?愛斗」

蓮太は愛斗の顔を覗き込みながら尋ねた。

「……違うよ」

愛斗は冷めた目で答えて、席を立った。

そして、カバンを取って、教室の外へと行こうとする。

その時、思い出した。

あの時…美桜ちゃんと話した後、聞いてしまったんだ…。