「……」

私は黙って二人の会話を聞いていた。

「……ん?」

蓮太はやっと愛斗の後ろにいた私に気付いたのか、顔をひょいっと覗かせて私を見る。

「??」

「君一年?誰??」

蓮太は愛くるしい顔で私に尋ねてきた。

金髪のわりに、意外に童顔で可愛い顔立ちだった。

「志水美桜です」

私はニッコリ笑って答えた。

「愛斗の知り合い??」

蓮太は急に愛斗と私を疑った目でじーっと見る。

「あぁ。友達」

愛斗は笑いながら答えるが、

「怪しい…」

と蓮太は二人を見つめる。

「何が?」

「二人…付き合ってる??」

「「ばっ…んなわけねーだろ/ないでしょ!!//;;」」

私と愛斗は蓮太の言葉にはっとして、慌てて言い返した。

「ふぅーん…。ならいいんだけど」

蓮太はまだ疑った目でじっと見ながらそう呟くと、教室に戻って行った。

「な、何言ってんだ//あいつ…」

愛斗は少し困った表情で眉を潜めて溜息ついた。

「ねぇ、今の人…友達?」

私は愛斗の顔を覗き込みながら尋ねる。

「あぁ。あいつは小学校の時から一緒なんだ。七森蓮太っつって、馬鹿だけどいい奴w
そんで、さっきの眼鏡かけた自称真面目くんが新木翔。あいつとは、中学のときからの仲かな」

「自称って?」

「あいつ、学校では眼鏡かけて真面目ぶってるけど、実はすっげー悪だから。眼鏡外すと人変わるよw」

愛斗は可笑しそうに笑う。

「そーなの?!」

まあ、ヤンキーに真面目な友達がいることに少しビックリはしてたけど…←

そういうことねw

「あぁ。面白いやつなんだ」

「へぇ~。さっきの金髪の先輩とは、小学校から一緒なんでしょ?凄いね」

私は感心したように声を上げた。

「そうかな?」

愛斗は首を傾げる。

「うん!…羨ましい…」

私は笑顔で返事した後、寂しそうな目で呟いた。

「……」

それを見た愛斗は目を瞬かせて、

「今度、ちゃんと紹介すんね!」

と、私に笑いかけた。

「うん!」

それから…それからだった。

何の前触れもなく…

「あ。愛斗~」

私が愛斗を見つけて手を振っても、愛斗は振り返してくれなかった。

愛斗はただ、悲しい目をして私を避け続けた…。