僕のアメ♪

「大丈夫ですか?!」

私は茶髪の少年の腕を触ってさする。

「…??」

茶髪の少年は辛そうな、睨むような赤い目で眉を顰めて私を見た。

そう…彼は天瀬愛斗。

「……」

私は目を丸くして、彼の目を見つめ返した。

正直、怖かった。

でも、話し掛けておいて、彼を放っておくことは出来なかった。

「立てますか?」

私は自分の首に右手で掴んだ愛斗の腕を回して、そのまま左手で体を支えて立ち上がる。

「お前…誰だ…っ!!」

愛斗の顔は、痛みのせいか歪んでいた。

「えぇっと…志水美桜です;;たまたま通りかかっただけです」

自分でも呆れるほど、お節介だと自覚した。

「…お前には関係ねーだろ。放っておけ」

愛斗は私から離れようと力を振り絞った。

でも、体のバランスを崩して、また地面に倒れる。

「ちょ;;大丈夫!?;」

「いいから!放っておけ。…でないと、お前も変な目で見られるぞ」

愛斗は真剣な眼差しで私に言った。

確かに、さっきから私たちを見る目が痛いのは気付いていた。

世間の目というのは好きじゃない。

私はそのせいで、ここまで腐った人間になったのだから。

でも…

「……」

それでも私は、また愛斗を支えて立ち上がった。

「お。おい!;;」

「悪いけど、私馬鹿だから」

「!?」

「弱ってる人を放っておけるほど、人間成ってないんで。怪我してるアンタ見た時点で、私は関わる気満々でした」

私は真っ直ぐ前を向いて、少し荒々しい口調で言った。

「……」

愛斗は目を瞬かせて驚いた後、黙って私の言う通りにした。