―二ヶ月前の春―


《春。私の大好きで大嫌いな季節…。

気候は順調。晴天続きで、暖かい。

桜が舞い散るこの季節は、美しくて大好きだ。

でも…》


「……」

私は新しい制服をまだギコチナク着こなして、学校へと向かう登校道を歩く。

「そうそう。でさ~」

「えー?すごーい」

道行く人を見る度、私はうつむいて顔を上げない・目を合わせないようにした。

その度に緊張して、怖くて手が震えて、精神がおかしくなりそうだった。


《春は出会いと別れの季節。何事にも逃げて来た私は―――

そういうのが大っ嫌いだった…》