僕のアメ♪

少し混乱している私に、愛斗は

「こいつはな、喧嘩好きでいつも喧嘩って聞くと飛んでくるんだ」

と小声で教えてくれた。

「そっか。だから、さっき翔も早く去った方がいいって言ってたんだ…」

「あんだけ目立つことしたら、誰か通報してるだろーしな」

「てか、あの人本当に警察官なの?そうは見えないんだけど」

「一応な。昔からあんな感じだから」

「昔って?そんな前から知り合いなの??どんだけ警察に世話になったのよ、あんたら…」

私は呆れて半眼になる。

「俺が中三の時からだから…二年ぐらいかな。そんなに長くはないと思うけど…」

「長っ;;十分長いから!;;犯人暦二年とか!!←」

私が声を上げると、悠介は

「何コソコソやってんだ!!」

と大声を上げた。

「ス、スイマセン!;;」

私は急に来た大声に驚いて、背筋を伸ばして飛び上がった。

「ま、とりあえず帰っていいぞ~。めんどーだし」

悠介はネクタイを緩めながら、タバコの煙を吐いた。

テキトー…。

私は呆れた目で悠介を見つめた。

「ありがと、ユウ」

蓮太は立ち上がって背伸びした。

「じゃあ帰るか」

愛斗も立ち上がって、出入り口へと歩く。

私は一応、悠介に頭を軽く下げて、出入り口へ小走りで向かった。

翔は出入り口付近で壁に寄り掛かっていたので、そのまま歩いて出る。

「あ。待てお前ら」

悠介は何かを思い出したように、私たちを呼び止めた。

「今度から喧嘩するときは絶対俺を呼べ。俺が蹴散らしてやる」

悠介は真剣な眼差しで愛斗たちを見つめて言う。

「それ、ユウが喧嘩したいだけじゃ…」

愛斗は苦笑い。

「いいから!お前らが喧嘩すると退学になるかもしれねぇだろーが」

「まあ…そん時はそん時で」

蓮太は笑って返す。

「馬鹿野郎!!高校ぐらいちゃんと卒業しろ」

悠介は親のような目で私たちを叱る。

「はいはい、じゃーなー」

それを軽く流して、愛斗は先に交番を出た。

「たく…」

悠介は呆れたように溜息ついて、窓から見える空を見ながらタバコを吸った。

「世話のやかせるガキ共だ…」