―岸咲(キシザキ)学校の近く―

「そんな凹むなよ」

愛斗は苦笑しながら、私を慰める。

「いや…だってさ…私、ただでさえ点数悪いし…。朝課外って、普通の授業と一緒らしいよ。出席日数足りなくて、単位とれないよぉ(泣)」

私は頭を抱えた。

「大丈夫だって。俺、一回も行ってないしw」

愛斗は近くの駐車場にバイクを停めながら、平然と笑って言う。

※私たちの学校はバイク禁止です。免許取るのも、本当は禁止です←

「いいですねぇ…頭のいい人は」

私はわざと嫌味を言った。

「授業聞いてたら80・90点は取れるだろ?」

愛斗はバイクの鍵を回しながら、ケロっと言う。

「取れるか(泣)!!大体、何で朝課外あるなら、もっと早く迎えに来ないんだよ!起こせよ!!朝が苦手な俺を!」

私は涙目で、愛斗を怒鳴った。

言い忘れたが、私は興奮したりすると『俺』と言ってしまう厨二病持ち←

「だって、お前いつも『だる~い』『行かない。面倒だし』とか言って行かないから、今日も行かないのかと…」

「そうか…俺が悪かったのか…」

私は凄く後悔した。…日頃の自分に←

学校へ向かうため、2人は歩き出す。

「今度勉強教えてやるから、元気出せ^^」

愛斗は優しく微笑む。

何故、こいつは俺より頭いいんだ…!!

フツー逆だろ。やべぇ…殴りてぇ←

「ハイ…宜しくお願いします」

私はフラフラで頭を下げた。

でも、教えてもらわないと、まぢで俺は破滅する←

「おぅ」

愛斗はカバンを右手で持って肩にかけ、鍵を持った左手をポケットに突っ込む。

「愛斗ぉぉぉぉぉ」

「…あ」

愛斗は目の前の何かを見て、声を上げて足を止めた。

「どうした?先生??もういいよ。説教でも何でも聞いてやるよコンチキショー。みんな俺を馬鹿にしてんだろ?(泣)」

私は下を向いて、重たい足を前へ前へ動かす。

「いや、そうじゃなくて…」

「美桜ぉぉぉぉぉ」

愛斗は目の前を指差す。

「ん?」

私は顔を上げた。

「おーい!おはよー!!」

目の前には、金髪で無邪気な少年が笑みを浮かべていた。

バイクで両手を離しながら、大きく手を振って←

「……」

私は一瞬、思考回路が停止した。

金髪の少年が乗っているバイクは、猛スピードで私たちの方向へ突っ込んできていた。