僕のアメ♪

―昼―

「いけうっち~!ジュース~♪」

蓮太は満面の笑みで池内に抱き付く。

「わかったから離れろ!;」

「あ。蓮くんたちまだやってたの?ww」

クラスの女子達も微笑ましそうに見る。

「ぅん!」

「そーだ!蓮くん、お菓子いるー?私、今日いっぱい持ってきたんだ~♪」

一人の女子生徒(立花茜)が、スナック菓子を蓮太に渡した。

茶髪のショートで、透き通るような茶色のクリクリ目をした明るい少女だった。

「おぉ♪ありがと!!」

蓮太の満足そうな笑顔に、茜は頬を染めて微笑み返した。

「いいなー、お前はモテモテで」

池内は羨ましそうに蓮太を見る。

そこに、

「おーぃ。レーン」

と、愛斗がポケットに手を突っ込んで近づいてきた。

「あ。どーしたの?愛斗」

蓮太は首を傾げる。

周りの空気が変わった。

少し張り詰めたような、緊迫した空気が流れる。

愛斗は皆から怖がられていて、誰も自分から近づく者はいなかった。

そんな愛斗が動けば、皆が不安になる。

視線や空気に気付いていた愛斗だが、いつも通りに蓮太に話す。

「美桜んところ行こうぜー」

「行くー!!でも~…ちょっと先行ってて。オレ、いけうっちぃにジュース買って貰ってから行くから」

「おぅ」

愛斗がその場を離れようとした瞬間、蓮太に菓子を渡した茜が気になって、足を止めた。

「ぇ…?」

女子生徒は愛斗と目が合って驚いた。

愛斗はゆっくり茜に近づく。

「…!?」

茜は怖くなって目を瞑った。

すると愛斗は、茜の頭に手をやって、

「ゴミ…」

と、茜の頭の上についていたホコリを優しくとった。

「ぁ…。ありがとう…」

茜は驚いたが、

「いーえ」

と優しく微笑む愛斗を見て、少し頬を染めた。

「んじゃ、先行ってるから」

「うん!」

愛斗は静かに茜から離れて行った。