僕のアメ♪

左の影は指を鳴らしながら歩いてくる。

「テメーら、俺の友達(ダチ)に手ェ出すとはいい度胸じゃねぇか…」

愛斗は物凄い形相で男たちを睨んだ。

「愛斗!」

私は思わず叫んだ。

すると、バイクに跨っていた真ん中の影の男が

「美桜、遅くなってゴメンネ^^;」

と、苦笑しながら言った。

…多分扉を破壊したのはこいつだろう。

バイクで扉を吹っ飛ばしたのだ。それ以外に扉が吹っ飛ぶわけがない。

私はここでようやく理解した。

そうか。バイクの妙なテクニックはこのためか!←

「レン……弁償だよ」

「そこなの?!;」

蓮太は思わずツッコんだ。

右の男は右手はポケットに突っ込んで、左手でネクタイを緩める。

「たく…本当に世話の焼けるヤツだな」

翔は呆れて、ため息をつく。

「うわぁ…みんな助けに来てくれたんだ♪」

私は少し元気になった。

「感激してる場合か」

翔に少し不機嫌そうにツッコまれたが←

「天瀬ぇぇぇぇ!!」

急に怒鳴り声を上げる臣…。

「あぁ!?」

愛斗は不機嫌そうに眉を潜めて、首を傾げた。

「俺のこと…覚えてるか?忘れるわけないよな??」

「…知り合いか?」

翔は愛斗に尋ねるが、愛斗は首に手をやって

「…いいや。知らねーな」

と臣を見据えて言った。

「な…んだと…!!」

男は怒りに震える。

そして、

「殺れ!!!」

と、仲間に愛斗たちを指差して、怒鳴り声で命令した。

「……!!」

翔と蓮太の目が据わる。

戦闘態勢に入った二人だったが、愛斗はそんな二人の前に出て、

「俺がやる」

と、指を鳴らした。

「了解!」

蓮太は笑顔でそう言うと、ルンルンでバイクに座り込んだ。

「ハァ…わかったよ」

翔は溜息ついて、バイクに腰をかけて腕組みして待つ。

「ありがとな、お前ら」

愛斗はニヤリと笑って、腕を回しながら敵陣に歩いて向かう。

「死ねぇぇぇぇえ!!」

男が金属バットを持って突っ込んできた。

バコッ!!

「!!?」

男の手が振るえた。

思いっきり振りかざしたにも関わらず、愛斗は片手で受け止めたからだ。

「…こんなもんで、俺を殺せると思ってんのか?」

愛斗は男を睨みつけると、金属バットごと男を力尽くで投げ飛ばした。

「オラァァ!!」

愛斗は懲りずに次々向かってくる奴らを、全力で拳を振りかざして倒して行った。

「ヴ…お前…本当に高校生かよ…!!;」

臣は恐怖に震えた。

暗い部屋の中に光る、赤く鋭い目…。

「てめぇ…!」

愛斗は臣の胸倉を掴んだ。

「て、テメーがいけないんだろ!!テメーが…」

臣の声が震える。

愛斗はその時、臣の恐怖に歪む顔を見て、思い出した。

確かこいつ……

「愛斗!!」

何かを思い出した愛斗だが、私の声ではっとした。

「!?」

「だめ…人、傷つけちゃ…!」

私は涙目で訴えた。