プロローグ,眩しい…。
ピピピピッ,ピピピピッ.
「……ん~…」
私は寝返りして、無造作に目覚し時計を探す。
「……」
目覚し時計を探し当てると、少し怒っているように力強く目覚ましを切った。
「はぁあ!」
そして、大きな欠伸をする。
「……」
小さくため息をついてから、仰向けになって天井を見る。
私は睡眠を邪魔されて、不機嫌だった。
「あ~…だりぃ」
私は窓から差し込む朝日を嫌うかのように、視界を手の陰で覆い尽くす。
あぁ…お願い神様。もぅ少し寝かせて…。
せめて、あと5時間←
時間を止めてくれ…。私は起きたくないんだ。
出来れば、このまま一生←
私は手を広げて、指の隙間から漏れる光を眩しそうに眺める。
その時、微かに遠くから聞こえた音…。
「……?!」
ブーン、ブーン!
バイク音だった。
その音は、どんどん大きくなっていく。
私は面倒くさそうに起き上がって、ベランダに出た。
此処は一軒家の二階。
「……」
私が辺りを見回していると、玄関のチャイムのところで1台のバイクが止まった。
「…おはよう」
私は半眼で肘をつく。
そいつはバイクから降りて、ヘルメットを外した。
「おはよう^^」
そして、朝から眩しいぐらいの笑顔を私に向けた。
茶髪の少年で、耳には赤いピアス。
髪は少し赤がかかっていて、スプレーで上げていた。横髪は小さなピンで留めていた。
さらに、目はカラコンを入れていて赤色。
制服姿でシャツは第二ボタンまで開けて、結構ラフに着こなされていた。
そして、赤いブレスレットにネックレス、指輪などアクセサリーをいっぱい付けていた。
厳しい学校だったら、一発停学になりそうだ。
「^^」
一見怖そうに見えるが、笑顔は愛くるしい。
普通に顔だけ見れば、かなりのイケメンだと思う。
「……」
私は少し頬を膨らませた。
どいつもこいつも、朝から眩しくて敵わない…。
「ん?どうした?」
茶髪の少年はヘルメットを座席に置く。
「何でもない。それより、もう遅刻じゃね?」
私は部屋の時計を見て、平然と言う。
時刻は8時30分。
「…そうだな」
茶髪の少年は携帯を見て、可笑しそうに笑って言った。
「…ほら」
私は二階のベランダから、茶髪の少年に向けてカバンを投げた。
「おっ…と」
茶髪の少年はカバンを受け取る。
「準備するから、ちょっと待ってて」
私は部屋の中へ消えた。
「おーぅ!」
茶髪の少年は返事をして、カバンをバイクに乗せた。
そして、携帯を扱いながらバイクに跨って暇つぶしを始める。
「……」
「ぅわっ!!」
ドン!バン!
「イッター…」
家の中から響いてきた声に、茶髪の少年は苦笑いする。
「たく…、何やってんだ」
ため息まじりに、少し笑って呟く。
おそらく、私が派手にこけた事は彼に伝わってしまった…。
