白い砂浜に寝そべる。
太陽に照りつけられた砂は熱くなっていた。
目を閉じると波の音と人々の声が静かに聞こえる。
「ちょっとー、人がいる前で普通寝る!?」
「痛ぇ…」
杏にデコピンされ、額がじんわり痛む。
重たい体を起き上がらせると、杏は頬を膨らませていた。
怒ってんのかよ…。
「寝てねぇよ、ただ音を聞きたかっただけだよ」
「ふーん、何かいい絵でも書けそ?」
「まだ分かんねぇよ」
俺は立ち上がり、体を伸ばした。太陽が眩しく照りつける。
「じゃあ、あたしは?」
「は?」
「あたしの告白の返事は?」
「…それはまだ答えらんねぇ」
「あたしのメンタルもそろそろ限界なんだけど」
「…そうだよな」
「やっぱりまだ泉のこと待ってるの?」
泉……。
5年待ち続けたが、いまだに姿と連絡も不明なまま…。
そんな泉を思い出した。