日々是淡々と‥

「そうなの?」

「そうじゃない。私なんて
明日どうなるかもわからない
んだよぉ。派遣社員なんて
辞めて安定した毎日を
送りたいよ。」

「でも、亜由美ちゃんは
派遣のあのお給料でも
びっくりするくらいちゃんと
貯金しているじゃない。
偉いわよ。私なんて、
派遣の時はお給料の
ほとんどが洋服やバッグ、
靴や飲み会に消えていた
ものねぇ‥お恥ずかしい
話だけど。」

「あれは私のささやかな
心の糧だもの。‥っていうか、
もう働きたくないのよ。」

「えっ?」

「もう働きたくないのぉー!
疲れちゃったよ。」

「・・・・・・・。」

「あんな駅から遠いのにやたら
狭いワンルームの家賃が
世田谷区だっていうだけで
六万七千円もするのよぉ。
一体いつまで働いて払い
続けられるのか‥って
考えたらほんと憂鬱に
なっちゃったのよ。」

「う~ん。わかるけど‥。
その気持ち。」

「はぁ~っ!やだやだ。
ほんとに‥いやだぁ、
もう働きたくないよぉ。」

「亜由美ちゃん‥。」

 典子はいっぺんに
酔いが吹き飛んだ気がした。