ーガタンッー

「じゃあね、またっ!」

「ん、ばいばい」

立ち上がりながら彼に言った。

ーガタンッー

電車の窓の中から大きく手を降っている。

…恥ずかしいなぁ。
あたしが中にいるんじゃなくってよかった と少し思った。

そんな風に考えながら、私も軽く手を振ってみる。

そうしたら彼は嬉しそうな顔で、もっと大きく手を振った。

すぐに彼の顔は見えなくなって、地下鉄を流れる風が私の髪を揺らす。

…そして、電車は次の駅に向かって走り出した。


fin.