「この時間はすごく空いてるね」

「こっち方面はあんまりひとがいないから」

周りを見ると隣どおしで座っているのは私たちぐらい。
なんだか少し恥ずかしくなった。
隣の彼はそんなこと欠片も考えても思ってもいないようだったけど。

駅までの間、私たちは他愛もないおしゃべりをした。

「あ、もう次だ」

「ほんとだ」

「はやいなぁ。もうちょっと話していたかったのに」

私も同じことを思っていたことに気づいて少しおどろき戸惑った。