ーガタンッー

「あ、電車。今度こそ乗ろっ」

あぁ、そうか、ホームが同じってことは電車も同じか。

何度も見逃していた電車にようやく乗った。

「どこで降りるの?」

私が駅名を言うと

「僕のひとつ前だ!」

なんだか特別なことのように嬉しそうに笑うから、思わず私も笑ってしまった。

「あ、笑った」

そう言って彼はもっと嬉しそうに笑った。

…そっか、彼の前では笑ってなかったか。
別に私、別に笑わないひとってわけでもないんだけどな。