鮮麗フォトグラファー







「夏梅 湊【なつめ みなと】って言うんだけど、知らない?」

「……知らないから、聞いてんだろ」






なぜかすごく機嫌が悪そうに見える気がするんだけど、私の気のせいだろうか。

……何か、気に障る事を言っただろうか。




「写真の世界では、有名人なの。夏梅 湊って言ったら、今日本を代表するフォトグラファー。そして、私の世界を広げてくれた、恩師なの!」




そう言えば、樋野くんはまた『ふうん』とだけ。




「じゃあ、何で“湊”って呼んでんだよ」

「え?だって、私のお母さんの甥【おい】っこだから」




ウチのお母さんもかなりまだ若くて、36歳だ。
つまり、私を生んだのは、20歳のとき。

そして、湊は今24歳。
湊が8歳のときに、私は生まれたんだ。


親戚同士で集まるときに、私たちは出会い、共に写真という共通の趣味があったから、沢山の写真を一緒に取りに行った。

そんな記憶も、懐かしく感じる。