薬品のにおいで充満しているこの部屋の中には、先生はいなかった。




「……っ」




ベッドの上に寝かされる私。


そして、冷蔵庫から取ってきたのであろう、アイスノンを樋野くんが首に掛けていたタオルで巻いて、私の首元に置いた。


樋野くんの、においがする。
そんなことでさえも嬉しくて仕方ないのに。

心が、跳ねあがっているというのに、あなたはいつだってクールで、私のこの気持ちさえ、気付いていないのだろう。


樋野くんは、授業に戻るのだろう。
ベッドから離れて行く。

少し、寂しいななんて感じでいる私に、嫌気がさす。