カメラがないと生きていけない。
逆にいえば、カメラさえあればいい。

そうおもっていたけれど、そうじゃなかったみたい。




「…樋野くんに私なんて、釣り合わないよね」




あのスポーツの強豪校として名高い旺華で、しかもサッカー部。
FWのエースとして活躍してて。

写真しか能がない私なんかとは、絶対に釣り合うことなんてない。


そう思ったら、余計に悲しくなってくる。




「…自覚したのに、もう失恋かあ」




恋しちゃったんだ。
けどそれは、苦い、苦い恋。

どうせするなら、甘い恋をしたかった。


優しい君の言葉が、
意地悪なことを言う君が、
不敵に笑う君が、

――――脳裏にこだまする。