「ごめん、李南!またね!」
バイバイと。
何事もなかったかのように手を振ってくれる環奈ちゃん。
「あ…うん。頑張ってね、環奈ちゃん」
私も振り返す。
すると。
「ねえ!暇なら樋野も手伝ってよ!樋野はドリンクの分量あたしよりうまいんだから!」
「俺、選手なんだけど」
「いいじゃないっ」
「あーもう。ほら。手伝ってやるから」
仲睦まじい。
いかにも、そういう風な光景が目の前にある。
環奈ちゃんのバカ。
ちゃんと見ててよね、好きなら。
私じゃないんだよ、樋野くんは。
私に向けられた優しさじゃなかった。
それが辛い。
でも、“環奈ちゃん”と仲のいい私をよくしてくれてただけなんだよ。

