「ふうん。まあ、そこ比べるとこじゃないけどね」
「…さっきからムカつくんですけど、その言い方」
「ごめんね、これが俺だから」
「…仕方ない、認めてあげよう」
「…相変わらず、変な奴だな」
“相変わらず”
その言葉が少し引っかかって。
あれ?私、彼と関わったことあるかな。
そんなことを回想しながらも、
「変だよ。それは十分私が理解してるから」
そう答えて。
私が若干また偉そう気に言うから、呆れたような声で、
「…あっそ」
と言う。
でも若干笑みが浮かんでて。
それが、嫌みでもない、ただの少年のような笑顔で。
その笑顔に、私はシャッターを切った。
「何撮ってんの」
「だって、良い表情だったんだもん」
「『だもん』じゃないんだけど。『撮っていい』なんて一言も言ってない」
「良い表情を見たら、シャッターを切る。フォトグラファーの性なのよ。それにいいじゃん、減るもんじゃないんだから」
「モデル料取るぞ」
「いやー、生憎お金持ってないから」

