言葉って難しい。
そう思ったのは、ちょっと前とか、そんなんじゃない。

…今の言葉ですら分からないのに、正しい言葉なんて、なかなかわからない。





「あっ、李南!」




放課後。

退部届を提出した。
随分と引き留められたが、最後には先生も承諾してくれた。

用事も終わったし帰ろうと思ったら、グラウンドから私の名前を呼ぶ声がした。
今ではよく知った声。




「環奈ちゃん!」

「丁度いい所に!ナイスタイミング!」




タオルを首に巻いて、こちらに走ってきた。