「…私はさ。本気で写真が好きだから、そう言ったことが許せないだけなの」
だから、ああいった言葉も、ただの一意見。
それも、分かってはいるんだ。
だけど。
―――許せなかった。
「豊臣秀吉がさ、刀狩りしたじゃない?それが、もしカメラだったらって考えたら、私、死んでも絶対にカメラは守り抜く。
それくらい、私は写真が好きなの、愛しているの。
だから、―――許せなかった」
『これだけは、何があっても守りたい』
そう言ったものが、きっとみんなそれぞれにあると思う。
それが私は写真なだけ。
「カメラはね、私の唯一の取り柄だから」
「…そんなことないじゃん」
「そうなんだよ。…私には、カメラしかないの。だから、カメラがなくなったら、私は、大袈裟かもしれないけれど生きていけない」
大げさなんかじゃない。
本気だよ。

