けれども、樋野くんに迷惑をかけるわけにはいかない。
きっと、先生に何か頼まれごとか何かで遅れてしまっただけ。

ならば、此処で私が邪魔するわけにはいかない。



「何もないよ。ごめんね、ぶつかって…」



そう言って、逃げようとした。
でも、



「!」




手首を掴まれて、逃げられなくなってしまった。




「何かあったんだろ?言え」

「いや、何も…」

「嘘言うな」

「…っ」