私の名を呼びながら、ポニーテールをし、トレーニングウェアをきた女の子が走ってきた。
あの子は確か―――。
「あ、サッカー部の與【あたえ】さん!」
以前から『次の大会の時には絶対に撮りに来てね』とお誘いをかけてくれていた彼女。
そんな彼女との約束を、果たす日が来たようだ。
いつもは野球部や水泳部の大会や練習試合に行って、その写真を学校や部に提供しているのだが、その噂を聞きつけてサッカー部からもお願いが来たのだ。
「サッカー部、来週インターハイ予選だから、その写真をお願いしたいなって」
「わかった、予定が合えば行くね」
「お願い!あと―――」
私は写真の全国大会で何度もグランプリなどの入選していて、その腕を買ってか何か、みんな試合のときには私を呼ぶのだ。
この学校にはもともと写真部があるのだが、それは男子で、頼みにくいと言う理由からだろう。きっと。
でも私は写真を撮ることが好きだから、頼まれることに関してはなんとも思わなくて、むしろ嬉しいとも思う。
休みの日にも関わらず、こうして県内である試合に限ってとか、何か用事がない日ならば出向くのだ。