CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~

スッピンに、汗だくの顔

撮影なんてして欲しくなかったが、この男に反論したところで撮影を止めてくれる訳がない

素の私を撮る

それが彼の言い分だ

モデル時代から今迄、日本人の顔は童顔だからとメイクは大人っぽくさせられていたから、普段の私の素顔を知ってる人は数少ない

だからこそ、普段はナチュラルメイクで街を歩いても誰もRURIだって事に気が付かないでいてくれ、日本に来てもダミーを泳がせ、友達と過ごす事だって出来たのだ

篤人とだって、ドライブに行く事も出来‥‥

はぁ~

思い出しちゃったじゃん!!

今日は篤人の事を考えないようにしようと思っていたのに、この男のせいで篤人の事を思い出してしまい、私は溜息を吐きだしながらランニングマシンを停め、休憩用に設置してある椅子に腰かけると、流れる汗をタオルで拭いながらスポーツドリンクを一気に飲み干したのだった


「もう走らねぇ~のか?」

「まぁ~ね!!
 今日のノルマは終わったし、後はプールに行くけど‥‥」

「ノルマって‥‥
 な、何?
 お前、毎日20キロ走りこんでるのかよ!!」

「そうだけど?
 そんなに驚く事?」


まるで意外とでも言うように、セッティングしてある20キロのランニングマシンを見て、男は驚きの声を上げながら私を見ていたのだ

変な奴‥‥

そう思いながら私はプールへと移動し、いつのもメニューである200メートルのクロールを3本程行い、マッサージ室で体を解してもらったのだった

そして昼食には軽いサンドイッチとサラダだけを食べていると、こんなに体を動かしいるのに、食べる量は少ないから痩せすぎだと怒ったように言ってきたのだ


「あのさぁ~
 素の私を撮るんでしょ?
 これは、私の運動と食事のメニューなの!!
 文句ある?」

「いやねぇ~けど‥‥
 甘やかされたお嬢ちゃんだと思っていたけど、俺の見当違いだったみてぇ~だな!!
 悪かったよ‥‥」


はぁあ?

この俺様男が、私に頭を下げた?

マジ?

私は驚きのあまり、思わず唖然としてしまった


「お前の肺活量が桁外れに高いのは、ちゃんと歌手として努力しているからなんだな?」

「桁外れって‥‥
 歌手なら、誰でもやってる事でしょ?
 それに食事だって制限しないと、満足した高音のキィーが出せないの
 ってか、もう時間だから移動するけど?」

「時間って‥‥
 まだ、30分も休憩取ってないぞ!!」

「あのさぁ~
 私は知ってると思うけど、これでも忙しいの!!
 次はダンス練習と、発声練習
 その後はコンサート会場
 分かったなら、さっさと支度してくれない?
 じゃなければ置いてくよ!!」


さっさと身支度を済ませ立ち上がった私に、高級そうな時計を見ながら桜井蒼紫は慌てた様子だった

あの時計‥‥

確か何百万もする時計だったような‥‥

社長ってくらいだから当然なのかもしれないけど、身に着けているスーツも高級ブランドだ