佐山くんを知ったのは高2になって3回目の席替え。


左側で眠そうに席に座る人。


ってだけだった。


だから、今日も暇そうに寝てるな。って思った。


佐山くんが起きたのは3時間目の数学の授業だった。


「日向、問2の答えは。」


この時に限って私は教科書に落書きをしてて聞いてなかった。


焦って教科書を見るけど問題が難しくて簡単に解けない。


どうしよ、どうしよ。


おどおどしてると、隣から腕がのびてきて小さな紙を置いた。


開いてみると、中には


【X=3y+20】


と書かれていた。


「X=3y+20…です。」


「当たりだ。」


隣を見ると、佐山くんは既に顔を伏せてた。


私は紙に【ありがとう】と書いて机に置いた。


それに気づいた佐山くんは紙を開いて中を見たら、また寝始めた。


これが、私達の初めての手紙だった。