龍星君の顔の怪我とか、時々見せる切ない表情の事は伏せたけど、話せる事は一通り話した。

「龍星君…超かっこいいじゃん!私、話聞いただけで惚れちゃいそう…」

私の話を聞くと、ノンは両手で頬杖をついて、うっとりする表情を浮かべた。

「そんな事されたら誰でも惚れるでしょ!良いな~じゅな!私もトキメキたーい!」

ナオミはニヤニヤしながらまたアイスクリームを食べる。

「で、じゅなは龍星君の事、どう思ってんの?」

そんな中、ルリカは核心をついてくる。

どうって言われても…。

「えっと…」

私だって自分でもよく分かんない…。

オロオロしているとルリカは

「どうなの?」

と、聞いてくる。

なんか事情聴取されてる気分だよ…。

「気付いたら、龍星君の事ばっかり考えちゃう…。でも、考えたらなんか心臓がおかしくなるの。」

まとまりのない答えに、ルリカはため息をこぼした。

そしてここから、ルリカ様お得意の質問攻めが始まる。

「龍星君が隣にいると、ドキドキするんでしょ?」

「うん…」

「龍星君に彼女が出来たらどうする?」

「ちょっと…嫌かも…」

「じゅなにノロケ話ばっかりしてきたら嫌でしょ?嫉妬するでしょ?」

「多分…嫉妬する…」

小さな声でボソボソと答えていると、ルリカはニコッと笑って私の頭を優しく撫でた。

「それは恋だよ」

…龍星君に"恋"したの?

私が?

「恋…」

ルリカの言った"恋"という言葉を復唱した。

自分でもよく分かんなかったこの気持ち。

彼が隣にいると、ドキドキしたり、彼のために今自分に出来る事はなんなのかと考えたり…

そう思うのって…恋…したからなのか…。

「そうなのか…」

独り言をこぼす私を、ノンとナオミはニヤニヤしながら見つめた。

そんな中、ルリカは

「さて!じゃ、早速行動開始!じゅな、今から龍星君に電話するよ!」

張り切って机をバンと叩いた。

「はい?!」

私は目を真ん丸にして驚いた。

電話…電話?!

「早く!なんでも良いから話すの!!」

再び机をバンと叩くルリカ。

なんでも良いからって言われても…。

ルリカに言われて携帯電話を鞄から取り出してみるも、私は固まった。

実はトークモードにはまだまだ機能があって、その中に通話機能がある。

トークモードで繋がっていれば、電話も無料でかけられるのだ。

便利な世の中だ。

…って…そんなしみじみとした事言ってる場合じゃないな…。

「…今、特に話すことないしいいよ…」

そう言って、携帯電話を鞄に戻そうとすると、ルリカはひょいと私の携帯電話を取り上げた。

「ルリカ!やめてよ!」

「そんな事言ってるといつまでたっても電話出来ないでしょ!」

「別に会おうと思ったらいつでも会えるもん…」

私の訴えを無視し、ルリカは私の携帯電話を操作する。

この子!鬼ですよ鬼!

「はい、どうぞ」

ルリカが携帯電話を返してくれた時には、すでに画面上にこう表示されていた。


【龍星君 呼び出し中】



背中から一気に汗が吹き出した。