ほんとの笑顔が見たかったんだ

慌てて私は首を横に振った。

「いやいや!違うの!ただ、あんな所を見られたのが恥ずかしかっただけなの!」

「ほんとに?」

龍星君は、まだ不安げな様子だ。

だから、彼に感謝している言葉を、ちゃんと言おう。

「嬉しかったよ、私…。龍星君が来てくれて、ほんとに嬉しかったんだよ。バンソウコウ買って来てくれた事も、ここまでつれて来てくれた事も、手当てしてくれた事も…すごーく嬉しかった。感謝してるよ。ありがとう」

体がポワーって熱くなった。

私、絶対今、顔が赤い。

だけど、頑張って伝えた。

龍星君は、安心してくれたみたいで、またいつものように笑顔を私に向けた。

そして、小さい声で

「…よかった」

って言った。