「なんで無理とか言うんだ?」

オトンは冗談まじりじゃなく、本気で聞いてきた。

もうここまで来たら、ほんとの事しか言えなくて、

「じゅなはさ、龍星の事が好きなんだよ…。俺はじゅなの事が好きだけど、でも、じゅなの事応援したいって言うか…邪魔はしたくないって思う…だから俺がさっさと告白して、そこで振られたら事は丸く収まるんじゃねぇーかなって思ってる」

いっきにそう言うと、自分で虚しくなった。

なんか、言葉に出すと情けないな…。

するとオトンはため息をついて、呆れるように言った。

「バカかお前は…なんだよ、“さっさと告白して振られたら”って…」

と言った後、少し間を置いてから続けた。

「お前さ、告白ってそんな簡単な事じゃないからな?“さっさと告白”って、そんな軽いもんじゃねぇぞ?好きな子に好きな奴がいるとか、上等だよ。それがなんだって言うんだ?樹菜ちゃんの事を思うのも大事だけど、じゃあお前の気持ちってなんなんだ?ずっと前から温めてきた気持ち、そんなにあっさり捨てれる程簡単なもんじゃねぇよな?」

行きの時と比べると全然違うくらい、オトンは真剣に言った。

確かに、俺はじゅなの気持ちを考えると言っておきながら、やっぱり諦めきれなかったのは事実。

間違いはない。

「だよな…」

うなづきながら、それだけ言った。

「やれるだけやってみろって。ずっと一人で乗り物乗ってさ、あれな、樹菜ちゃんに対する自分の気持ちから目反らしてるだけだからな?本当に好きな子なんだったら一回本気で誘ってみろって!」

オトンは優しく俺の肩をポンと叩いた。

じゅなは龍星の事が好き。

でもそれと同じ位に俺もじゅなの事が好きなんだ。

俺も…頑張ってみよう。

「分かったよ」

もう一度うなづき、俺達はソフトクリームを買って、3人の元に戻ることにした。